


通販では買い手にとって3つのマイナス条件が存在します。
1価格の交渉ができない。
2商品の品質を吟味できない。
3自分にフィットするかどうか確かめられない。
これらのマイナス条件は、ジュエリーを買い求める際に必要な基本的三条件をことごとく無化してしまっています。つまり商品のクォリティー、デザイン、加工技術を検証することがまったくできないまま買い物を完了することになります。ところが不思議にもこのように買い手にとってデメリットな条件をもつ通販が、ビジネスとして成立しているのです。

それでは通販ビジネスを成功させるために、売り手はどのような企みを実行するのでしょうか。通販の企画者はまず、①没個性的ジュエリーの選定、②没個性的人間の対象化、③一過性の信頼を演出すること、を課題として設定しています。この結果、巷には銀製のバラの花形の留め金具がついたパールネックレスや、プラチナのティファニー爪に留められたダイヤモンドリングがそこかしこと点在することになるのです。
このようにして没個性的なジュエリーが電波や紙上を賑わしながら、没個性的人間に利用されて、没個性的な宝飾文化を形成していくのです。通販の現場で主役を演じた『信頼』も、その仮面がはがれるのに何日もかかりません。信頼の仮面がはがれると、やがて品物の包み紙がはがれるように、その中で演出家たちによって増幅されていた価値も薄れていくのです。
・・・つづく。
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