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OBJECT -置物-

OBJECT -置物-


 ジュエリーは持ち物であると同時に使用するものです。それは単に置き物として眺めたり、コレクションとしての財貨である以前に、自分を表現する象徴物であるはずです。自分の身体につけることによって自分の存在の独自性をそのジュエリーによって主張しているのであります。
 ジュエリーは人の身体に装われてはじめて呼吸をし始めるのであるから、使用する主人を失ってしまった時は死せる置き物にすぎません。使用されることを目的として制作され、購入されて所有されるものが真のジュエリーといえます。使用されないことを前提に所有されるジュエリーは投機財か収集家の趣向品であり、この書き物で展開しているパワーとしてのジュエリーの範囲外であります。

『ホエールーペ2』

 所有しているだけでなかなか使う機会の無い商店主の奥方と、そのしまいこまれているジュエリーの有様は、そのまま日本の社会の宝飾文化の貧困さを表現しています。
 貧乏ひまなし、と昔から言いならされてきた言葉が今日では、富はあるけどひまがなし、という言葉によってそのまま日本の中間階級の奥方にあてはめられます。
 日本社会の構造上の貧困さと日常生活の中で自分の時間や空間を作り出せない日本人の生活倫理からくる貧困性。つまり働く者が尊ばれ、遊び人が蔑まされるという過去の徳目と、現代の巨大に拡大し続ける消費生活のはざ間で、一時も無為な時間を過ごすことができなくなっている現代日本人、特に50歳をこえた人の生活様態の貧困さが日本の宝飾文化の貧困さを作りだしているのかもしれません。

・・・つづく。





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