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RING -リング-

RING -リング-


 指輪の制作に関して重要なキーポイントの一つは、人の肌に当たる部分、つまり指輪であればその裏側の処理をいかに配慮して制作するかということです。この接点の処理を誤ると身体と指輪の金属部との馴染みが生じず、異物を着けている感じが否めません。
 指輪と指との呼吸が通いだすためには、指輪の裏側の地金部分に適度な厚み、幅、膨らみを与え、そこを十分に研磨処理することです。5年、10年と技術を磨いた職人のつくり上げる作品の着け具合は、大量生産方式で仕上げた手抜き品とはまったく異なるものです。
 水道管を輪切りにして切り口を研磨処理したにすぎないマリッジリングと、指の肌に当たる指輪の裏側部分を、やや甲丸状の緩やかなはらみを持たせ、十分に磨き上げたマリッジリングとの違いは、はっきりしています。消費者が自分に馴染む指輪を選び出すときの最初の検証点は指輪の裏側部分の加工技術が適切か否かということです。
 検証点の第2は、求めようとする指輪を着けたときに、その隣の指に張り出しすぎて違和感を感じさせないか、という点です。薬指に着けたときに両側の小指と中指に触れる感触が強すぎる指輪がじつに多い。この感触の具合は人によってまちまちですが、デザイナーや職人は大きな石や真珠を使って指輪を制作する場合、特にこの点に十分な配慮を必要とします。買い手も自分の求めようとする指輪が、それを着ける指だけでなく、その両サイドの指を含めた3本に馴染むかどうか検証すべきです。

  『SATORI』

 検証点の第3は、あらかじめどの指に着ける指輪を制作しようとしているのか明確に決めなければならないことです。すべての指は各々そのプロポーションが異なっています。長さ、膨らみ具合、指先の流れや方向、間接の動きやしわの付き方など、数え切れないほどの表情がそれぞれの指にあります。身体の中で指ほどその人の生きてきた歴史を刻んでいるところは他に無いといっていいでしょう。
 手は第2の頭脳と言われていますが、同様に指は第2の顔というにふさわしい程の表情をもっています。これほど豊かな表情を持っている指ですから、どの指にも万能な指輪をつくるのは理にかなったことではありません。
 今では親指を除いてどの指にも指輪を着けます。したがって小指には小指の流れにふさわしい指輪が必要です。薬指、中指、人差し指のそれぞれの表情にあった指輪の流れや大きさ、重心の置き所が必要といえます。
 ある特定の指に着ける場合、その指の水かき部分が最も影響します。人差し指と中指、中指と薬指、薬指と小指の間に介添えしている水かきは一律で平行ではありません。中指と薬指の水かきを基準と見れば、薬指と小指の水かきは一段下がっているのが通常です。人によって違いはあるにしても、水かきの並びが一律でないことは確かです。
 実はこの水かきの部分に指輪はおさまるのであり、指におさまっているわけではありません。指の付け根の水かきにおさまっているとき指輪はもっとも指に馴染むのです。指輪の制作にあたって肝心なのは水かきに馴染ませるようにつくることです。薬指に着ける指輪をつくるときは、薬指の両側にまたがる水かきを考慮する必要があります。
 左の耳の流れに合わせた左用のイヤリングを右の耳に着けたとしたら、左の靴を右に履くようなものです。同じように左手の薬指用に制作した指輪を右手の薬指に着けたほうがぴったりだったというようでは、職人の常識が疑われます。指輪を買い求めるとき、買い手はどの指に着けたいかを明確にして指輪を選び、また注文すべきです。また買い手は指に着けた指輪が自分に馴染むかどうかを、水かきへのおさまりで判断することができます。

・・・つづく





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