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EXAMINATION A~C -考察-

EXAMINATION A~C -考察-


 ジュエリーの本質はそれが思い出や生き様をストーリー化して刻印していることです。その刻印されたストーリーがときどき口をあけて持ち主を噛み付くことがあります。
 Case Cは、別れた亭主の思い出を払拭してしまいたい女性の衝動を推測させます。人生の新しいステージを歩みだそうとする女性に、過去の思い出を背負っているジュエリーが心の重荷になってしまった事実を思わせます。
 過去の個人的な体験が単に脳裏に記憶されたり、写真や現場に残されたりする以上に、そのときに装っていたジュエリーに磁石のように体験が強くイメージ付いてしまうのはなぜでしょう。その理由は不確かですが、Case Bはそのことを如実に物語っています。
 ピジョンブラッドとして今まで自分のおしゃれを高揚させていた赤いルビーのリングが一瞬に怪我の血と合一して不快感に転じてしまうのです。これはジュエリーというものが現実に起こる人生のドラマを集約してストーリー化してしまうということです。そして単に物語化しているだけでなく、持ち主の過去のページをめくるよう想起させるのです。拡大されて映し出された画面の原版のように、片手に隠れてしまうほどのジュエリーがその人の人生の過去を良くも悪しくも映し出してしまうのです。


 『magic』

 しかしだれも負のプレッシャーの為にジュエリーを持つものではありません。人生をプラスに展開するためにジュエリーを持つのです。良い思い出が力となるように、またプラス志向の人生へと点火していくきっかけとなるようにジュエリーを買い求めたり譲ったりします。
 Case Aの婦人がどのような人生を送ってきたか察する事はできませんが、重い日常の気分と生きていることの悲哀の関係を宗教的な領域にまで昇華させていることに間違いはないでしょう。その尊厳にまで高めた関係をダイヤのリングに造形化しようとしているのです。
 ジュエリーは一般的には思い出を刻印しています。しかし個々にあっては深い愛情を記している場合もあれば、故人の全存在を意味している場合もあります。そしてそのフォルムの奥に記されている像が呼吸しているとき、そのジュエリーはパワーを発信しているのです。

・・・つづく。





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