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FAILED -落ちていく-

FAILED -落ちていく-


 例えば喜平と呼ばれる金のチェーンは、もともと人の身体のラインにしっとりと合い、ペンダントを下げてもその重さに良く耐えて、落ち着いた雰囲気をかもし出すものでした。さらに加えてそのデザインも、使用感触も、強度も、宝飾チェーンの中では最高傑作のものであったと言って良いでしょう。
 これがひとたび客寄せの企画品として価格競争の舞台に乗せられると、<価格の安さを競う>という商魂上の大役のために、今まで持っていたジュエリーとしての好感度のイメージを壊され、それまで維持していた品格を失ってしまったのです。しかも単なる価格競争にとどまらず、催事のための客寄せ企画品にノミネートされると、不幸にも元来持っていた流通価格をも無残に否定され、当座の撒き餌の価格に落とされてしまうのです。
 このように喜平チェーンは本来提供してきた優れたジュエリーとしての調度性を隠ぺいされて、その日の地金相場で振り回される落ち着きのない不安定なジュエリーグッツにさせられてしまいました。それを胸に下げる人もまるでその日の金相場や質札を身体に着けているかのようなイメージを与えられるに至ってしまったのです。


  『next season』

 今となっては喜平チェーンを身に装っているお洒落が、着けている本人にも周りの人にも、なんのときめきや共鳴を与えず、逆に無味乾燥でかえって着けないほうがその人の品性を保てるという実情です。これは喜平チェーンがいかに駄物品になってしまったかという証拠であるとも言えます。
 実際に装った時にその人の品性が高まるものを、ジュエリーと呼び、品性を高めなくなったものを宝飾雑貨といいます。他の生活用品はどうあれ、ジュエリーだけは着けた時、品位や品格を高めるものを買い求めるべきです。着けて品位を落としてしまうようなものは、自分をディスカウントしているようなものです。
 店頭の客寄せ商品や紙上ショッピング、TVショッピング、カタログショッピング等で、客寄せの為の価格競争の先兵に使われた淡水真珠のネックレスもまた、喜平チェーンと同じ憂き目になっています。カジュアルなジュエリーとして位置してきた淡水真珠も安さを競うあまり、今では景品のひとつに成り下がってしまいました。このような景品を首から下げてTV画面に登場する社会的知名度の高い婦人も時々いるが、それによってその婦人の品格が疑われたとしてもその婦人のせいではありません。

・・・つづく。





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