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~宝石の価値と価格~

宝石の裏側vol.3
~宝石の価値と価格~


 自分の持とうとするジュエリーに自身のこだわりや主張を取り入れると、初めて人は自分独自のジュエリーを持つことになります。前章でも述べましたが、これこそが自分の物であるというジュエリーは、単に店先に並んでいる商品としての取引上の交換価値だけではなく、着けて使用した時に満足を与えてくれる所有者の主観的価値をもつのです。ジュエリーの価値とそれに伴う価格に焦点を当ててみると、使う本人にしか生み出せないもうひとつの価値が見えてきます。
・・・つづく。


             『生命の源』



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SYMBOL -象徴-

SYMBOL -象徴-


 商品は交換価値のほかに、所有者が手にして初めて実現する使用価値というものがあります。交換価値や使用価値は、ジュエリーはもちろんのこと、生活物質が持っている価値の二面性です。
 自分が使っているジュエリーを嫌いになったり、飽きたりするのは、使用価値に付着している個別的で具体的なイメージに対してであります。またこの特殊で個別的なイメージを払拭したり、変更したりするのがジュエリーのリフォームといえます。 そして使っているジュエリーに愛着を持ち続けている限り、そのジュエリーは着けている本人の存在そのものを表現している象徴物となるのです。それは、着けている人の生き方や主張、こだわりや思い入れ、記録や思い出を表現している〈ことば〉とみなしても良いでしょう。


             『生命の源うら』

 他人にとってはどうでもよいと思われるジュエリーとの特殊な関係が所有者本人にとっては価値の本髄なのであります。人の存在を形象するジュエリーは所有者の個人的な出来事や思いをストーリー化してしまい、そのストーリーを〈ことば〉に凝縮してジュエリーの中に刻印してしまいます。したがって所有者はこの〈ことば〉をジュエリーの価値としてとらえるのです。そしてこの価値は所有者にとっては極めて重大な何事にも代えがたい価値ですが、他人にとっては何の意味も価値も持っていないものであるわけです。
・・・つづく。




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CASE A~C -出来事-

CASE A~C -出来事-


 Case A M運送会社の紛失事故。A宝石店が地方都市のB宝石店から加工依頼でお預かりした真珠のネックレス。留め金具を修理して送り戻したが運送途中で紛失したとのこと。B宝石店のお客様が祖母の代から愛用してきた貴重品で、金銭や代替品では弁償が困難なものである。

 Case B A宝石店がサイズ直しの為にお客様より預かったトルコ石のリング。直した後にお客様に渡したが、色が変色してしまい、セットになっているイヤリングの石の色と違ってしまったとのこと。サイズ直しの際リング枠に当たった熱で変色してしまったのである。

 Case C 30歳男性。1年前に制作したゴールドとプラチナのブレスレットとペンダント。自分の主張を思いのままに取り入れたデザインで、着けるたびに気持ちがはずんでくる。同僚の関心だけでなく、街中で出会う人の視線をあびて快感の極みである。
・・・つづく。


             『カーネリアン』



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EXAMINATION A~C -考察-

EXAMINATION A~C -考察-


 ジュエリーの愛好家が、長く愛用している自分のジュエリーによせる熱い思いは、それを求めた時の市場価格などの交換価値をはるかに超えています。はじめてそのジュエリーに出会った時のエピソードから、それを着けていて体験した数多くのエピソードが、かけがえのない価値となってそのジュエリーに刻印されているからです。

             『エメラルドグリーン』

 愛用すればするほどその価値を増していくという点でも、ジュエリーは身近な生活財のなかで最も特出したものでしょう。このようにジュエリーは店頭から離れて、愛好家に購入された時から、その本来的ともいえる価値を発揮しはじめます。この使用価値が発生してその意味が増してくると、もはや市場価格でその価値を表現している通常の宝飾商品では代替が不可能となるのです。
・・・つづく。




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SPECIALTY -特質-

SPECIALTY -特質-


 電化製品や自動車などの生活消費財は、それをユーザーがどれほど愛用していたとしても使用年数に限度があります。ところがジュエリーは年月を経ればそれだけ意味を増し、使用価値を高めていく事が出来るのです。ジュエリーはたとえ市場価格で金地金の価格が変動しても、ゴミ箱に投げ入れられる様な事はありません。不要になったとしても廃棄物として処理されてしまうこともありません。

             『蝶々』

 貴金属や宝石の市場流通価格は相場の限度内で確保されているので、愛用しなくなったとしてもそれを捨ててしまう事はないわけです。むしろ作り替えるか、人に譲るか、質屋に持ち込むか、または保管する事になるでしょう。ジュエリーを愛用するにせよ、しないにせよ、人は誰もその一般的な交換価値を認めているのです。
・・・つづく。




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STRUCTURE -しくみ-

STRUCTURE -しくみ-


 ジュエリーの元値がどのように決まるかは、一般的には明快です。原石やカットされ研磨された宝石の価格、使われた地金の価格、デザインを含む加工代であります。しかし複雑なのは、これらに対する評価が取引業者たちの好みやニーズの強弱によって異なるために、一律にはいかないことです。それは、宝石の品質についてのグレード評価や製品に仕上がった際のデザインと加工技術の良し悪しが、少なからずそれを扱う会社や個人の主観的な判断に依存しているからです。
 さらにメーカーやブローカーが営業上どのような販売戦略で展開するかによって、そのジュエリーにかけるコストが違ってきます。例えば、量販を目的とした販売企画であるのか、オリジナルな逸品ものとして展開していくのかによってデザインも、生産経費も、販売経費も違ってくるのです。


             『美味』

 ジュエリーの卸値がどのようにして決まりその価格に差異があるとしても、小売店にとっての仕入れ価格は、仕入れ原価として小売価格の決定や実際の販売価格に対し、侵食しがたい確固とした、神の座として存在するのです。仕入れ原価と経費と利益が合理的なものであれば、そのジュエリーの小売価格は理にかなったものであります。小売店がのれんを守り、信用を伸ばそうとすれば、この合理的な小売価格を正価として守りぬくでしょう。そして正価のついたジュエリーが高いか安いか、あるいは納得価格か否か、という事は買い主の価値観や事情に因るのです。
・・・つづく。




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SELECT -選ぶ-

SELECT -選ぶ-


 買い主は求めようとするジュエリーの価格判断をするとき次の三つの価値評価を前もって実践してみると良いでしょう。

1 使われている素材の品質に納得できること。

2 製品としてのデザインに共鳴できること。

3 加工技術が優れていて触覚がよいこと。

 宝石や地金素材の品質判断には科学的な根拠や、専門家や愛好家が認める一般的な基準があります。しかしジュエリーの買い主は、この基準を考慮にいれながらも自分のこだわりなどの主観的な価値判断を重視して購入したほうが良いでしょう。市場の評価や愛好家の評価が高い宝石であっても自分の趣向や出せる金額に合う大きさやカラーでなければ、自分にとって価値をもたらさないからです。
 デザインや加工技術の面でも、年季を積んだ加工職人が、培われた宝飾技法を駆使して制作したものを買い求めることが堅実な買い方であります。しかしここでも言えることですが、専門家の評価や、デザインコンテストなどの審査員が、いかにすばらしい評価をくだしたからといって、買い求める本人の感性や身体にミスマッチな物を選んではいけません。ジュエリーを買い求める時は、それが自分の身体や指にしっくりと馴染むかどうか、自分の内面を引き付ける魅力的なデザインであるかどうか、実際に体感して選ぶことが大切です。

            『美味2』

 自分のジュエリーを購入するとき、求めようとする商品に付けられている価格を判断する前に、先に述べた三つの視点を検討することが必要です。この検討を実践することで買い主は自分にとってよりふさわしいジュエリーを選び出すことができるでしょう。品質、加工、デザインが自分の感性と身体にマッチすることこそジュエリー選びを成功へと導くのです。 またこれらに、いくらかの妥協があれば、そのジュエリーを持ち続けているうちは、妥協というストーリーがつきまとうことになります。
 さらに売り手側からいえば、先の三視点をクリアしているジュエリーを提供することこそが宝飾業の本道です。売り手がそのジュエリーの小売価格を理にかなって決定し、店の信用と自分の威信をかけて小売業務を行えば、そのジュエリーの小売価格は何の駆け引きも必要としない確固たる正価となって買い主に了解されるでしょう。
・・・つづく。




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CASE D -出来事-

CASE D -出来事-


 60歳代の女性。「自分は8年ほど前、銀座の宝石店で淡水真珠のネックレスを買い求めたが、次の年にはそれを着けなくなってしまった。同じようなネックレスが年々安く販売されているので、着ける気がしなくなった。」
・・・つづく。


『アメシズム』



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EXAMINATION D -考察-

EXAMINATION D -考察-


 中国産の淡水真珠は1985年ころを境にして価格が下がりだしました。業者間の取引価格は、1年で半値以下になり、3年後には10分の1になってしまったのです。しかもこれを百貨店やスーパーなどの宝石売り場が、催事用の客寄せ目玉商品として大量に販売しダンピングしたため、ジュエリーとしてのイメージが失われて雑貨品のイメージへ転落してしまいました。
 近年これほどまでにジュエリーのイメージを壊し価値を低下させたものはありません。繰り返しますがジュエリーの価値は所有者の個人的な考えに因るところが大きいのです。Case Dの淡水真珠は、それが売り手の催事用客寄せ商品として、安売り競争の具にされる前は、ジュエリーとしての一定の座を保持していました。しかしジュエリーといえども、それが安売り商品としてたたき台に乗せられ、店頭やチラシ広告に大量に出回ってしまうと、もはやジュエリーとしての希少性や高級感を消失させられるのです。

  『フェザーリング』

 このように市場相場の変動は、すでに持っている自分のジュエリーの価値に容赦なく影響をあたえ、その個人的な価値のイメージを高めたり壊したりします。自分のジュエリーの価値を外的な事情の如何に関わらず不動な物として持ち続けるには、どのような買い方をしたら良いのでしょうか。
 ジュエリーを購入する前に分析すべき三つの条件について既に述べましたが、これを補足しながら再度検討してみましょう。
・・・つづく。




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MATERIAL -材料-

MATERIAL -材料-


 第一に大量に出回る素材に注意することです。ジュエリーの素材が大量に出回れば、当然に市場価格が下落します。そして商品価格が下がればジュエリーとしての価値も損なわれてくるのです。市場に大量に出回る素材を選ばないようにすることは、素材の品質に納得するための重要なポイントであります。
 例えば淡水真珠は養殖真珠なので、生産調整をしなければ需給のバランスが保てなくなります。一般に宝石類は産出量に限度があり、大量に市場に出回ることが比較的少ないのです。したがって宝石類が産出量によって市場相場をこれほど大きく下落させることはありませんでした。さらに産出量に限りのあるこれらの宝石類でさえ、市場価格の安定のために、出荷調整によって価格の安定を保ってきました。事実、ダイヤモンドは強力なシンジゲートを持ち、供給統制をしながら価格の安定をはかっていた時期があります。また日本の養殖真珠業者も、生産調整や出荷調整を行って、価格の安定をはかってきたのです。


            『アレキサンドライト』

 真珠は海や湖で養殖される人工的な自然産出物です。宝石類のような天然の自然埋没物と違って人工的に量産が可能なものであります。もちろん自然条件に限定されながらではありますが、市場価格を読んで生産の調整をすることができます。ところが中国産淡水真珠はこの調整が出来ずに大量生産にはしってしまったのです。
 市場価格の安定は、愛好家が宝石やジュエリーを長く楽しむために必要な条件であります。この意味からもジュエリーを購入しようとする時、まずその素材のクォリティーと希少性に留意し、市場に多く出回りすぎないこと、色や形にも特徴があることなど、実に単純な事柄ですが考慮する必要があります。市場に出回りすぎる素材、出回りすぎるデザイン、出回りすぎるイメージ、これらが耐久商品であるジュエリーの価格と価値を下げてしまうのです。ジュエリーは所有する人の生涯にわたって、またその生涯を越えて次世代までも、さらに世界中どこの文化圏においてもその価値は認められなければならないのです。
・・・つづく。




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KIHEI -喜平-

KIHEI -喜平-


 市場の販売競争の結果もたらされるジュエリーのイメージダウンは、18金やプラチナの喜平ネックレスについても言えます。これは1980年頃から宝石売り場の催事用アイテムとして、百貨店やスーパーだけでなくテレビショッピングや新聞、雑誌などあらゆる場所で客引き用に販売されました。そして未だに喜平チェーンは壮絶な販売競争を続けているのです。
 すでに喜平ネックレスをジュエリーとして装うことが消費者のおしゃれ感覚から消えてしまっているにもかかわらず、未だに販売業者はこれを安さの指標として使用し、客を誘い込もうとしているのです。ジュエリーが地金相場まで落ちてしまえば、もはやそれはジュエリーとしての価値はありません。それは着けて楽しいものでも、持っていて満足を与えてくれるものでもないからです。


            『いえろうだいや』

 宝石や地金という素材そのままでは、ジュエリーとは呼びません。この素材にデザインと加工技術が加わってはじめてジュエリーと呼ばれるのです。日本人に実に好まれた金やプラチナの喜平と呼ばれるカットチェーンが限りなく地金そのもののように取引されると、そこでは加工技術もデザインも無視されてしまっていて、もはやジュエリーとは呼べないのであります。販売業者はジュエリーの価値を自ら壊しているといえます。
 販売業者は価値ある商品を売りながら、自分で自分の首を絞めざるをえないのが価格競争です。販売業者が消費者のために有効な競争を企画するならば、それはデザインと加工技術というジュエリーの価値で競争すべきでしょう。
・・・つづく。




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DESIGN -デザイン-

DESIGN -デザイン-


 第2に心がけることは、デザインやフォルムにこだわり、自分の主張やアイデンティティーを、購入するジュエリーに取り入れることです。
 ショウケースの商品や店員の薦める商品に自分を合わせるだけでよしとせず、一歩踏み込んで自分の気持ちをデザインに取り入れたり、すでに出来上がっている商品をアレンジして自分の好みをフォルム化することです。

   『エアー』

 これにより一層ジュエリーを自分特有のものにすることができます。つまり主体的、能動的に商品作りに関わることによって、ジュエリーの一般的な価値を自分の固有な価値へ昇華してしまうことです。
・・・つづく。




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CASE E~F -出来事-

CASE E~F -出来事-


 Case E 70歳前後の女性。真珠のネックレスで6ミリのチョーカータイプ。銀の花柄の留め金具が付いているが、真珠のサイズに比べて金具が大きく目立ちすぎる。1年前に糸替え修理をしたが糸の張りすぎで、つっぱってしまい身に着けたときにぎこちない。

             『シトリン』

 Case F 45歳の女性。長年使い込んでいるプラチナ甲丸リング3本と雑誌から切り抜いた有名ブランドの3連リングの写真を持参。3本のリングのうちの1本にメレーダイヤを12個留め、さらに別の1本に自分の名前をアルファベットで彫り、3連リングをつくりたい。
・・・つづく。




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EXAMINATION E~F -考察-

EXAMINATION E~F -考察-


 事例に事欠くことないこの種の注文は、そのほとんどが自分の好みや思いを、自分のジュエリーの中に取り入れるという欲求からなるものです。ジュエリーが商品としてショウケースの中で不特定なお客様を待っている間は、単にそれは価格に表示されている一般的な価値にすぎません。だがひとたびオーナーが決まるとジュエリーは自ずからオーナーの分身となって、自分のオーナーに忠実にフィットしようと努めるのです。

             『シトリン2』

 あまりにもポピュラーとなった真珠のネックレスで、そのオーナーの特徴を表現するには、どのようなアレンジ方法があるでしょうか。まずオーナーは自分の襟元や胸元にそれを装着してウェーブのラインを見定めながら長さの調整をする必要があります。ネックレスの最も良い位置やライン、感触と美観、自身との一体感や満足度などは鏡の前に立つ貴方の内なる女神が決めてくれるでしょう。その声に耳を傾けて、それを着けて出かける時の服装とのコーディネイトに思いを巡らせば、市場に大量に出回っているパールのネックレスとは一味違った自分のジュエリーにアレンジすることができるわけです。
・・・つづく。




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PERSONALITY -個性-

PERSONALITY -個性-


 人のキャラクターやプロポーションが皆異なるように、ジュエリーが表現し、醸し出す雰囲気も同じものはまったくありません。そして同じではないという事こそが、ジュエリーが本来的に目指している価値であります。さらにこの価値がオーナーやユーザーのこだわりと一致したとき、外界の変化や評価に関わりなく確固とした座をそのジュエリーは占めることになります。

             『ボルケーノ』

 ジュエリーの中には身体に直に着けるリングやチョーカーもあれば、着ている服の上に着けるブローチやロングネックレスなどもあります。それらはいずれもそれを着ける人の身体の延長となるのです。つまりジュエリーは疑似身体なのです。それゆえに他人から借りた物は自分を表現できません。
 人間の身体はその人の内面性の延長であり、呼吸の仕方、動作の癖、顔の表情や演技など身体で表わす全てのパフォーマンスがその人の内面性の延長なのです。人の身体的な表現がその人の心の表象であれば、着ている服やジュエリーも当然、人の内面の延長なのであります。逆も正なり、人は自分の内面的なこだわり、主張、生き方、威信や権威、記憶や思い出などをジュエリーによって表現してきたのです。
・・・つづく。




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CRAFT -技術-

CRAFT -技術-


 身体に着けるジュエリーが人の内面の延長だとすれば、ジュエリーが持っているテイストはそれを着ける人の内面と一致していなければなりません。

             『アレックス』

 ジュエリーのテイストを最も引き立たせる事が出来るのは、加工職人の技量であります。これがジュエリーに確固たる価値を持たせることの出来る第三の条件です。ジュエリーは加工職人によって生命を吹き込まれ、誕生し、オーナーを得て価値を昇華し始めるのです。
・・・つづく。




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CASE G~H -出来事-

CASE G~H -出来事-


 Case G 母と娘。成人のお祝いに娘のペンダントを買いに来ました。娘はショートへヤーで色白、ピアスを着けシルバーのリングをはめています。母親のほうは、自分が根っから宝石は似合わないし、着けないものと決めてかかっていました。ところが娘さんのものを選んでいるうちに、ふと自分の指に通したイタリー製の18金のリングが気に入ってしまったのです。
 イエローとホワイトゴールドが、ほど良くからみ、全体がゆるいV字を描き、リング裏側には裏張りが施され、肌に感触の良い仕上がりのリングです。母親の指は少々太くて短めでしが、そのリングは驚くほどその指に馴染んだのです。通常よりも大きめに作られたサイズも指にピッタリと合い、一層気に入ってしまったとのこと。


              『ヴァイオレットサッファイア』

 Case H マリッジリングにこだわっているカップル。一般の店には販売されていない物を作りたいとのこと。通常の定番商品よりも1.5倍の幅と厚みにして、名前と血液型を彫り、女性のものを金で、男性のものをプラチナで制作することになりました。
・・・つづく。




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COST -費用-

COST -費用-


 ジュエリーのコストを下げようとすれば、原材料を安く仕入れることが必須条件です。そのほか、加工費を出来るだけ下限まで抑えるように努め、使用する地金を軽くしたり、量産して生産コストや営業コストを低くするように努めざるを得ません。

             『THE リーフ』

 近年、ジュエリーの販売競争はますます低価格化競争の様相を呈してきました。そのため労働工賃の安い東南アジアで生産したり、地金の使用量を少なくする為、中空マシンメイドの商品が開発されました。しかしこうしたコストダウンの方策は決してジュエリーの価値を高めるものではありません。むしろジュエリーの品位を落とすものであり、その価値の恒久性に逆行するものであります。中空のマシンメイド商品は、ピアスやイヤリングなどの一部のジュエリーを除いて、ほとんどは日常の使用頻度に耐えることが出来ず、その価値を持続できません。
 このような低価格化競争による量産ジュエリーの洪水の中から、生涯に亘って永く愛用できるジュエリーを見つけ出すことは、困難でしょう。
・・・つづく。




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EXAMINATION G~H -考察-

EXAMINATION G~H -考察-


 ジュエリーがその価値を長く持続するに為には、そのジュエリーの仕上がりの良さが特に影響します。これを決定的にする職人の技量とは、5年以上の技術修行を積み、なお自分の技術を磨き続け、自らの感性とも相まって、ジュエリーに発揮されるものです。
 Case G のように制作経験の豊かな職人が、使う人の身になって制作したものとお客様の感性が一致するときもあれば、Case H のように最初からお客様の希望に合わせて作り出さなければならない場合もあります。いずれにしても職人はお客様の気持ちを、創り出すジュエリーのフォルムに投射しなければなりません。
 その際に職人はこれまでの自分の制作経験からデザイン的なアドバイスや制作上の助言をするのですが、自分の趣向をお客様に押し付けてはいけません。職人はお客様のこだわりや好みを可能な限り引き出して、それを可能な限りフォルムに投射することがその務めであるからです。

             『THE リーフ2』

 今日ではジュエリーデザイナーや宝飾工芸家が独自の工芸世界を築き、これを商業ベースにのせてビジネス展開している場合も多く見られるようになってきました。デザイナーや宝飾作家は自分の芸術的感性を拡大しながら、それぞれのアイデンティティーを作品作りに生かしています。
 これに対し、お客様によって店頭に持ち込まれたり、注文を受けたりする職人のスタンスは、そのような作家達と違い、エンドユーザーとしての注文主や買い主の希望を引き出し、それをジュエリーにフォルム化することに職人的関心を集中させているのです。すべての人は同じではないという事を前提に取り組む工芸活動といえるでしょう。
・・・つづく。




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FIRST -まず-

FIRST -まず-


 “商品は安ければ安いほど買い手にとって善である。ただしその商品が買い手に満足を与えなければそれは悪である。”このことはあらゆる商品一般について誰もが認めるテーゼです。しかしことジュエリーに関してはもっと複雑であります。
 ジュエリーの価格は安ければ安いほど消費者にとってプラスであるわけですが、それが使用する人に価値を与えなければそのジュエリーはその人の生涯にマイナスに作用し続けるのです。 一般の生活商品は耐久年数が長くても10年です。それが過ぎれば、先のようにマイナスに作用していても、価値とともに消えてなくなります。ですが、ジュエリーは消えてなくなるものではなく、年月が経てば経つほど、その粗悪さへの不満は増え続け、マイナスのイメージが膨らみ続けます。ジュエリーはストーリーを価値に取り込みながら恒久的に存在し続けるので、当然のことですが粗悪とか不満というマイナスのイメージをもストーリーに取り込んでしまいます。

            『

 “ジュエリーは良ければよいほど消費者にとって善である。しかる後にそれが安ければ安いほど消費者にとって得である。”このテーゼにおいて、逆もまた真なりとはなりえません。なぜなら人は価格の安さに惑わされやすいからです。価格という色眼鏡で品物を見てしまうので、品物の本髄に迫ることが出来ないのです。はじめに価格があり、それに価値が従属するのではありません。はじめに商品の価値を見定め、その後価格を検証することが重要なのです。まず安さという価格に群がるのではなく、品物その物の実態に迫ることが先決でしょう。
 もう一度まとめると、ジュエリーにとって良品とはなにか。

1、自分の趣向に合う品質。

2、心の引き付けられるデザイン。

3、高い加工技術。

 そして重要なことはこれら3つの視点を、商品の価格を判定する前に検証することです。これがジュエリー選びの鉄則であります。
・・・Vol.4へつづく。




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